ドナリィンの恋
弁護士の要請で、ドナが呼ばれた。部屋に入り、鉄格子の内側に佑麻を認めると、潤んだ目で鉄格子に張り付き、佑麻と指を絡ませた。そんなふたりを麻貴は腕を組んで睨んでいる。ジョンは部屋の片隅で、佑麻、麻貴、ドナの動向を見つめ、必死にその関係性を推理しているようだった。やがてドナと弁護士が奥の机で、話し始める。ドナがものすごい勢いでまくし立てているのを横目で見ながら、佑麻と麻貴は日本語で話し始めた。
「麻貴は何しにここへ来たんだ?」
「あなたを連れ戻しにきたのよ。」
「なんで?」
「行き先も告げず、急に出て行ったから、みんな心配しているのよ。」
「そうか…。心配かけてすまないが、子どもじゃないんだから、帰るべき時には自分で判断して帰れるよ。」
そう言う佑麻の物腰に、麻貴は今までにない骨太なものを感じ戸惑った。
「それじゃ、あまりにも自分勝手すぎない!」
戸惑いを紛らわすように一層語気を強める麻貴だが、佑麻は軽くかわす。
「ところで、麻貴と一緒にいる紳士は誰?」
「ああ、彼。こちらで知り合って、お世話になってるの。ジョンよ。ジョン、こちらはユウマ。」
ふたりは鉄格子をはさんで握手を交わす。
「麻貴を世話するのは大変でしょう。」
「いえ、とても光栄なことと思っています。」
ふたりは見つめ合う瞳の奥で、麻貴に対する共通な認識を確かめ合い思わず笑いあった。
「何が可笑しいのよ。変な人達ね。」
やがて、ドナと弁護士の話が終わり、今度は弁護士が警察署長に何やら話し始める。弁護士の主張が通ったのか、話が終わると警察署長は首を左右に振りながら、佑麻を留置所から出すように部下に命じた。警察関係者以外の全員が安堵に顔がゆるむ。しかし麻貴だけは、佑麻を自分のいるパレスにとにかく連れ戻そうと、鉄格子から出てくる彼に腕を伸ばした。しかし佑麻はそんな麻貴には目もくれず、一直線にドナのもとへ駆け寄り、彼女を抱きしめたのだ。麻貴は伸ばした腕をだらりとおろして、呆然とふたりを見つめる。その瞳の奥に隠された失意を、ジョンは見逃さなかった。そして、ジョンは麻貴を取り巻く事情をようやく理解した。
「申し訳ないけど、今日はいろいろあってドナも疲れているから、このまま帰るよ。」振り返って言う佑麻の右手には、ドナの手が握られていた。
「麻貴は何しにここへ来たんだ?」
「あなたを連れ戻しにきたのよ。」
「なんで?」
「行き先も告げず、急に出て行ったから、みんな心配しているのよ。」
「そうか…。心配かけてすまないが、子どもじゃないんだから、帰るべき時には自分で判断して帰れるよ。」
そう言う佑麻の物腰に、麻貴は今までにない骨太なものを感じ戸惑った。
「それじゃ、あまりにも自分勝手すぎない!」
戸惑いを紛らわすように一層語気を強める麻貴だが、佑麻は軽くかわす。
「ところで、麻貴と一緒にいる紳士は誰?」
「ああ、彼。こちらで知り合って、お世話になってるの。ジョンよ。ジョン、こちらはユウマ。」
ふたりは鉄格子をはさんで握手を交わす。
「麻貴を世話するのは大変でしょう。」
「いえ、とても光栄なことと思っています。」
ふたりは見つめ合う瞳の奥で、麻貴に対する共通な認識を確かめ合い思わず笑いあった。
「何が可笑しいのよ。変な人達ね。」
やがて、ドナと弁護士の話が終わり、今度は弁護士が警察署長に何やら話し始める。弁護士の主張が通ったのか、話が終わると警察署長は首を左右に振りながら、佑麻を留置所から出すように部下に命じた。警察関係者以外の全員が安堵に顔がゆるむ。しかし麻貴だけは、佑麻を自分のいるパレスにとにかく連れ戻そうと、鉄格子から出てくる彼に腕を伸ばした。しかし佑麻はそんな麻貴には目もくれず、一直線にドナのもとへ駆け寄り、彼女を抱きしめたのだ。麻貴は伸ばした腕をだらりとおろして、呆然とふたりを見つめる。その瞳の奥に隠された失意を、ジョンは見逃さなかった。そして、ジョンは麻貴を取り巻く事情をようやく理解した。
「申し訳ないけど、今日はいろいろあってドナも疲れているから、このまま帰るよ。」振り返って言う佑麻の右手には、ドナの手が握られていた。