ドナリィンの恋
「あいつは、ミス・マキに出会ってから、どんどん人間らしくなっていくな。それで、ミス・マキは、なんとかその友達に協力してあげたいのだね?」
「ええ、彼らがやろうとしていることは、意義のあることだから…。」
「ミス・マキは本当にいいお嬢さんだ…。だが残念ながら、わしも引退した身だから、会社のことで息子や孫に命令することはできないね。」
「そうですか…。」
「しかし、孫のジョンを説得する方法なら教えられないこともないが…。」
「ぜひ、教えてください。」
「それは、ミス・マキに一役買ってもらわなけれはならないよ。昔、妻に学校を建てるカネを出せと言われたことがある。そんなことに金は出せないと断ると、この方法でこのわしからまんまと金を引き出しおった。しかも、その学校にはわしではなく妻の名前がついておる…。」
 麻貴は思わず噴き出した。
「はい、私のできることでしたらなんでもいたします。」
「質問なしで、わしの言うとおりにできるかい?」
「はい、信頼しています。」
「ならば、早速準備に取り掛かろう。」
 トニーは奥の部屋に消えると、しばらくしておめかしして出てきた。部屋着を見慣れている麻貴は、身なりを整えたトニーに普段にない品と威厳を感じて、少し気後れした。
「さあ、ミス・マキ。これからわしとデートをしよう。車いすを押しておくれ。」
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