俺様常務の甘い策略
ちょっと席を外したと思ってたらいつの間に着替えたんだ?

「……ごめん。私……話が見えないんだけど、田中さんも屋形船の会食に出るように言われたの?」

「ええ。先週末、藤堂さんに言われました。鈴木さんもです」

……どうやら知らされてなかったのは私だけだったらしい。

夏海ちゃんまで桜の可愛い柄のピンクの浴衣を着て現れた。

「私、屋形船って初めてなんですよね~。沙羅先輩早く着替えましょうよ」

私も初めてなんだけど……楽しむ気分にはなれない。

夏海ちゃんみたいにウキウキ気分になれたらいいんだけどね。

「秋月さん、時間ありませんよ」

田中さんが急かすので、私は渋々浴衣を受け取る。

紫の布に描かれた綺麗な蝶。古風で品があって……。颯介の見立てだろうか?

袖を通してみると、その蝶がより綺麗に見える。

問題は……私が浴衣の着方がわからないという事。

浴衣の帯ってどう結ぶんだっけ?

私の手が止まると、田中さんが突っ込んだ。
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