俺様常務の甘い策略
「秋月さん、浴衣の着方、わからないんですね」

ちょっと刺のある言い方にカチンと来たが、顔には出さずに作り笑いした。

「はは……秘書検定に浴衣の着付けなんて出てこないじゃない?」

「教養の一つですよ。時間がないので私がやります」

田中さんが慣れた様子で浴衣に触れる。

「田中さんがやると帯とか凄く綺麗なんですよ。私のも田中さんがやってくれたんです」

夏海ちゃんがにっこり笑う。

さすがお嬢様だなあと、私は感心しながら田中さんの手先を見ていた。

浴衣は私にあつらえて作られたようにぴったりで、近くの鏡で自分の姿を見てテンションが上がった。

「うわぁ、なんだか自分じゃないみたい」

綺麗な浴衣。

ううん、夏海ちゃんのも、田中さんのもそれぞれの個性に似合ってて凄くいい。

「田中さん、ありがとう。田中さんの浴衣も綺麗で凄く似合ってるよ」
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