俺様常務の甘い策略
「言ってないわよ。それより、何でここに来たの?」

これ以上プロポーズの話題には触れたくなくて、私は話を逸らす。

結婚とかそれに関係するワードを聞くと、追い詰められてるような気がしてなんだかイライラする。

「ちょっとこれから用があって外出する。沙羅、今日も鍵持ってかなかったでしょ?先に帰ってて」

颯介が私の手にマンションのスペアキーを握らせる。

そう言えば、いつも一緒に帰るから鍵を持ち歩く習慣なかったな。

「ちゃんとお利口さんにして待っててよ。今日は指が染みるだろうから家事はしなくていい。その破片の片付けも」

急に甘い目になって、颯介が私の頭を撫でる。

家事をしなくていいのは嬉しい。

颯介に教えてもらって少しずつ料理は覚えたけど、やっぱり私は作るより食べる方が好き。こいつが作る方がずっと美味しいしね。

「わかった」

私が素直に頷くと、颯介は満足げに微笑んで私から離れた。
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