俺様常務の甘い策略
ほんと……颯介は……誰にでも婚約者って言いふらして……。

あの口にガムテープ貼ってやりたい。

せっかく傷口の血が止まったのに、この怒りで血が噴き出しそうだ。

頭痛がしそう。

もう二十八だし、結婚は早くしたいって思ってたけど、外堀埋められて退路を断たれると……怖くなってパニックになる。

展開が急すぎて頭がついてかない。

まだ、恋人としての時間を楽しんじゃ駄目なのかな。

私って……この期に及んで逃げ道を作りたいんだろうか?

ああ~、もうわかんないや。

真っ直ぐ電車で家に帰ってシャワーを浴びると、私はリビングのソファーに寝転んで微睡む。

今日も一日疲れた。

颯介のいない静かな家。

私はいつの間にか眠っていたらしい。

何かが私の頬をペトペロと嘗める。

「う~ん、くすぐったい」

うっすらと目を開けると、茶色い小さな物体が私の身体の上に乗っていた。
< 248 / 299 >

この作品をシェア

pagetop