俺様常務の甘い策略
ああー、この笑顔見てるだけでイライラする。

私は無言で社長室を退出して秘書室に戻ると、自席のデスクに手に持っていたスケジュール帳をバンと叩きつけるように置いた。

思ったより大きな音がして近くにいた後輩秘書二人の身体がビクッとなる。

「ちょっと、秋月さん。びっくりさせないで下さいよ」

子犬の如くキャンキャン吠えるのは、私の三年後輩でコネ入社の田中美鈴。担当は常務だから、藤堂の担当も多分彼女になるだろう。

父親が有名ホテルチェーンを経営していて実家がお金持ちで無駄にプライドが高く、社長秘書の私を目の敵にしている。

セミロングの茶髪で男受けする甘めの可愛い顔だが、性格はかなりキツイ。

「沙羅先輩、何かあったんですか?」

そう優しく声をかけてくれるのは、四年後輩の鈴木夏海。彼女は専務担当だ。
< 26 / 299 >

この作品をシェア

pagetop