俺様常務の甘い策略
力は加減出来なかった。加減する方が無理というものだろう。

腹筋を締める余裕もなかったのか、こいつは身を屈めながらゲホゲホと咳き込む。

「いてえよ。……お前……やりすぎだろ?」

涼太が抗議するが、俺はフッと微笑した。

「俺の怒りに比例してるんだよ。人のものに手を出すお前が悪い」

「……俺からすれば、お前が俺のものに手を出したんだ」

涼太がボソッと呟く。

「俺にものねえ?沙羅に気持ちも伝えてないくせに?そんな子供みたいにいじめるだけじゃ、あいつに気持ちなんて一生伝わらないよ。沙羅が色恋沙汰に疎いの知ってるよね?」

「……煩い」

「時間はたっぷりあったはずだ。告白も出来ないヘタレに沙羅をやれると思う?」

俺はネチネチと涼太を言葉でいたぶる。

「ええい、もう煩い、煩い!手を出して悪かったな!」

涼太が逆ギレしてギッと俺を睨み付ける。
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