俺様常務の甘い策略



翌朝、沙羅と車に乗り込もうとすると、涼太に呼び止められた。

「おい、これやるよ」

涼太が白い紙袋を俺に手渡して、耳打ちした。

「沙羅には見せるなよ」

チラリと紙袋の中を見れば、それは文庫本で……。

ああ、有栖川尊の本。

「わかった。嬉しいよ」

涼太の言葉ににっこり笑って頷く。

俺にこの本をくれるということは、少しは俺の事を認めてくれたのだろうか?

「昨日はよくもあんな事してくれたわね!」

沙羅があいつに近付いて涼太のみぞおちに一発ぶち込む。

それを目の当たりにした俺は、思わず吹き出してしまった。

お見事。

涼太は痛みをこらえながら、身を屈める。

俺のも昨日二発食らってるし、かなり痛いだろうな、あれは。
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