俺様常務の甘い策略
ガンと向き合って戦う女の子は意志が強くて、前向きに生きていて……、立場は違うけど沙羅そのものだった。

「沙羅には見せるな……か。まあ、自分が沙羅が好きだって小説で告白してるようなものだよね」

確かにこの小説は沙羅に見せられないし、見せたくない。

この事は俺の胸にしまっておこう。

俺は静かに小説をバッグの中にしまうと、沙羅の肩に手を回して抱き寄せた。

東京に戻れば、また慌ただしい日常が待っている。

だが、明日は婚姻届を沙羅と一緒に区役所に出す日。

身が引き締まる思いがする。

「アメリカにいる第二の父にも知らせておかないとね」

ジョージの顔を思い出し、フッと笑う。

知らせておかないと怒るだろうな。

明日俺達は結婚する。

紙切れ一枚提出するだけなのに、家族が……親戚が増える。

人の縁とは不思議なものだ。

高校の時に沙羅と出会う事がなければ、福井のご両親に会うことも……涼太に会うこともなかっただろう。
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