期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
コンコンとノックをすると
「誰だ…」と聞き覚えはあるが、とても弱々しい声が中から聞こえてくる。
私は若社長の3歩ほど後ろに下がり彼の背中を見つめていた。
「お父さん、僕です。千洋です。」
「…入りなさい」
その声を聞いて、ゆっくり病室のドアを開ける。
若社長の後ろについて中に入ると
数カ月前まで元気に会社にいたの社長が、頬も痩けてやつれた姿でベッドの中にいて
頭にかぶっている緑色の毛糸の帽子がやけに存在感をだしていた。
「千洋か、よく来たな。今日は…」
そう言いながら、若社長の後ろに私の姿を見つけて社長が微笑む。
「君はうちの受付の羽田くんだね」
「社長、お久しぶりでございます。」
深々と頭を下げた私に、社長は数度、頷いてみせた。