『私』だけを見て欲しい
仮面をつけて…
午後から降り出した雨のおかげで、私は病院に寄るのをやめた。

(早く家に帰って、泰を迎えに行かないと…)

今朝出かけに傘を持ってなかった。
置き傘なんかしてるハズもない。
この土砂降りの中、あの子に傘を貸してくれるような友達が、いるかどうか分からない。

(黙って迎えに行ったら、「余計なことするな!」って叱られそう…)

そうは思っても、親としては知らん顔できない。
自宅から学校までは、徒歩で20分以上かかる。
その距離を傘なしで歩くってことは、ビショ濡れになるってことだから。

泰の傘を小脇に抱えて家を出た。
学校へ行くのは、入学式以来のこと。
担任の先生は中年の男性で、経験だけはあるけど、事なかれ主義の人みたいに思えた。

(…きっと何があっても、泰の味方になんかなってくれない…)

先生に対して悪いイメージしか持ってない。
子供の頃のトラウマのせい。
…そんなの持ってはいけない。
それは十分、分かってるけど…。


校門の前まで来て、授業が終わるのは何時だろうと思いついた。
考えてみれば私は、泰の学校が終わる時間を知らない。
あの子が部活を辞めてから、何時に家に帰ってくるのかも聞いたことない…。

(多分…3時頃には終わるよね…)

時間を確認すると、今は午後3時前。
どんなに遅くても、4時頃には終わるハズだ。

(それまで中の図書館にいよう…)

学校の図書室は公立の図書館も兼ねてる。

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