麗雪神話~青銀の王国~
しばらく考えて、地面に伸びているセレスのことを指しているのだとわかった。

けれど、なぜそこまで冷たい物言いをされなければならないのかが、わからない。

「この人は、セレスシャルと言って、騎士団長をしていて……」

「そんなことを聞いているんじゃない」

ぴしゃりと言い捨てられ、セレイアは気が付いた。

ディセルは、何かにひどく怒っているのだと。

「どうしてこんなふうに迫られているの。俺が来なかったら、どうなっていたんだ? セレイア、君は無防備すぎる」

さきほどの精一杯のやりとりを一言「無防備」で評価され、セレイアはかっとなった。

「無防備なんかじゃないわ!
私だって精一杯抵抗したもの!
ただこの人は相当の武人で、力では全然かなわなかっただけで、だから」

「どうして勝手にいなくなって、どうして閉じ込められていて、…今度は迫られていて。心配する俺の気持ちにもなってよ」

「私はこいつに無理やりさらわれてきたのよ!
閉じ込められたくて閉じ込められていたわけないじゃない!
私の気持ちにもなってよ!」

空中庭園で怒鳴り合う二人を、憩っていた人々が何事かと遠巻きに見ている。

二人とも内心泣きそうだった。

こんなとげとげしい言葉を交わし合いたいはずがない。
< 100 / 172 >

この作品をシェア

pagetop