麗雪神話~青銀の王国~
「二人の乙女に、祝福を!」

ディセルはそう言うと、微笑み、手のひらの上で氷のバラをふたつ生み出した。

そしてセレイアとレティシアのもとまで歩んでくると、ひざまずき、恭しく捧げ持つ。

「まあ、すてき! ありがとう」

レティシアが頬を淡いピンクに染めて、嬉しそうにバラを受け取った。

セレイアも、ディセルの手から、バラを受け取る。

(これだわ…!)

このバラに、何か仕掛けがあるに違いなかった。

近距離に迫ったディセルが、一瞬顔を上げてセレイアを見る。

思わず涙ぐみそうになるのを、懸命にこらえて笑顔をつくった。

「すばらしいプレゼントね。今日の記念に、大切にします」

こういえば、誰もセレイアからこのバラを取り上げようとはしないだろう。

接触はそれだけだった。

ディセルとサラマスの二人は、去っていった。

行かないで、お願い一人にしないでと叫びたくなるのを、セレイアはなんとかこらえることに成功した。

「本当に見事な氷の細工だわ。どうやってつくったのでしょう。すばらしい手品ね。
そうだわ、このバラが溶けてしまわないように、冷凍庫に入れておきましょう」

上機嫌のレティシアの台詞に、はっとした。

(溶ける…きっとこのバラ、溶かすべきなんだわ!)
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