さぁ、オレと恋をしてみようか
おもしろい家族だな。そう思ったら、気が緩んだのかクスッと笑ってしまった。


「おい!笑うな!!」
「あ、すみません。でも、いい家族だなって思って」
「千織さんの家族は、どんな感じなんですか?こういうふうに、ワーワー言わない……ですよねぇ…」


芽衣子は顔を引きつらせて笑った。


「うん、言わないかな。というか、ウチ仲良くないから」
「えっ」
「まぁ、オレのせいなんだけどね」


ははっ、と笑うと芽衣子がオレの手を、キュ、と握った。


「原因は、わからないけど、千織さんは悪くないです」
「芽衣子…」


なにも話してないのに、オレは悪くないと、まっすぐ目を見て言われた。


話すのは今なのかもしれない。オレは、そう決めるとポツリポツリ、話し始めた。


「オレもね、芽衣子と同じ一人っ子なんだ。〝オクダ〟はさ、ずっと昔からあった店で、オレは定休日とか作っちゃってるけど、オヤジはそういうのイヤがって、休みとかなかったんだ。だからオレはいつも1人で、誰も相手にしてくれる家族がいなくて、あの店がキライだった」


友達は、それなりにいたけど、小さい時はやっぱり親と出掛けたり、遊んだりしてほしかった。


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