いつかウェディングベル
「実に面白い資料を手に入れたのでね、是非、君に見てもらいたいのだが。」
俺は出来るだけ冷静を保ち加奈子と二人だけで話をしようと思っていた。
すると、周囲の視線もだが吉富の異常なまでの視線が俺には鬱陶しく加奈子をまずはこの場から離す必要があると感じた。
「専務室まで来てくれ。」
「今ですか?」
「ああ、そうだ、今すぐにだ。専務命令だ。」
加奈子は俺の不機嫌さを感じ取ると、自分の身にも何か良くない事が降りかかるように感じたのか蟹江に助けを求めた。
「あ、蟹江さん! 今日は倉庫の方の様子を見に行く予定でしたよね!」
「え・・・あ・・・まあ、そうだけど。」
「そんなものは代わりがいるだろう。俺は、もっと大事な用件があるんだ。」
蟹江も俺の苛立ちを感じ加奈子の言葉にあまり耳を貸していないようだが、吉富は俺と引き離すチャンスかと思ったのか加奈子の助っ人に入って来た。
「倉庫は現場をしっかり監督する必要はありますしね、それに、田中さんもみんなと同じように交代で倉庫の管理もしなければいけませんからね。田中、今日は俺と一緒に倉庫のチェックに行くぞ。」
「え・・・それは私と蟹江さんじゃ?」
どうやら、倉庫のチェックは本当らしいが、加奈子が一緒に行く相手は吉富ではなく蟹江のようだ。
となると、ここで吉富と加奈子を二人っきりにさせるわけがない。
「だったら俺が行く!」
「あなたね、専務がそんなことするわけないでしょう?!」
「そうしなきゃ、お前は俺の話を聞こうともしないだろ!!」
ああ、加奈子相手にお前呼ばわりしてしまった。俺の頭に血が上った証拠だ。
俺は今冷静ではないと証明しているようなものだ。
そして、加奈子の前に親父から取り上げた資料を突きだした。
その資料を見た加奈子は何故俺がこれを持っているのかとかなり驚いていた。