いつかウェディングベル
その日の夜に大事な話があると加奈子を書斎へと呼び出し、加奈子との話し合いが終わるまではお袋に芳樹の面倒を頼んだ。
加奈子は書斎に呼ばれたことでもっと緊張感をもちながら俺の話を聞いてもらおうと思った。
すると、場所を書斎にしたことが良かったのか加奈子は神妙な面持ちで俺の話を聞いてくれた。
取り合えず加奈子が考えたウェディング部門は置いといて、先ずは職場の環境作りを優先させようと江崎が専務室を訪れた話をして聞かせた。
「本当の話なの? その吉富さんの行動は異常よ。江崎さんの仕事を邪魔するなんて信じられないわ。」
「俺も正直驚いたよ。多分、一方的に加奈子に振られるだけでその理由も何も話していないだろう? 吉富はこれまで加奈子をサポートし続けてきたんだ。吉富は振られた理由を聞く権利があるのかもしれない。」
加奈子は少し考えていた。振る理由としてもっともなのは新しい恋人が出来たから。そう説明するのが一番自然だと感じる。
しかし、恋人が出来ただけでは吉富のこの数年間の想いは静まらないだろう。きっと、いつか振り向いてくれるのではないかと期待をしてしまうはずだ。
「それって吉富さんにだけ私達の関係を説明するの?」
「そこが問題なんだよ。それに吉富にどこまで説明するのが一番いいのか。俺達の結婚のお披露目をそろそろ考えた方が良いし、それに合わせて会社でも報告をした方がいい。だけど、その時まではあまり騒がれたくもないから吉富には全て話す必要はないと思う。」
「そうよね。いきなり透と結婚したからって言えば、益々吉富さんは怒り狂いそうな気がするわ。」
加奈子もかなり吉富を警戒している様子だ。
それだけ今の状況が分かっていれば対処のしようもある。
後は加奈子の気持ちが固まれば俺は先へと進むつもりだ。