いつかウェディングベル
折角食べていたご飯が喉に詰まってしまいそうだ。息が出来なくなる。
俺を窒息させたいのか?
「加奈子、芳樹はどうしたんだ? 見て来なくてもいいのか?」
「今日は増田さんとお風呂に入ってさっさと寝ちゃったわ。今頃はぐっすりよ。」
「・・・・・・そうか」
芳樹は寝つきの良い子な上に親孝行な息子で、最近の芳樹は一度眠ってしまうと少々の騒音を立ててもしっかり寝ている。
加奈子に言わせると以前二人だけの生活の時はここまで眠ることはなかったそうだ。
やはり、両親に祖父母のいる生活が芳樹に安心感を与えているのだろう。
そうなると、例え親子水入らずの生活ができるとはいえ、この家を出て三人だけのマンション暮らしはどうなのだろう?
本当に幸せな生活ができるのだろうか?
「今度はなに? 何か会社で問題でもあったの?」
「会社?」
そう言えば、俺は会社で何かあったような気がするが・・・・何だったのか思い出せない。
しかし、確かに今日は帰宅して直ぐに加奈子と顔を合わせたくなくて風呂へと直行した。
そして、かなり温めの湯に浸かり、更にはお湯とは感じないほどのぬるま湯のシャワーをしっかり浴びた。
それは・・・・俺の苛ついて高まったこの感情を落ち着かせるためにだ。
何故、苛ついていた? 何故、感情が高ぶった?
「そうだ! 加奈子! あれはいったいどういう事だ?!」
俺は加奈子に問い質そうとしていてすっかり忘れてしまっていた。加奈子との情事に溺れて肝心な話をするのを忘れるところだった。
俺は何故か今日一日中会社で良からぬ噂の的にされてしまっていたのだ。
それも、これまでは加奈子の元彼はDV最低男だった。なのに、何故か加奈子の元彼は専務で変態扱いされていた。
何故、俺がDV扱いされたり変態扱いを受けなければならないのか、加奈子は一体職場の連中とどんな会話をしているのか俺は加奈子を問い質したかったんだ。