いつかウェディングベル
「あれって?」
「あれだよ、あれ。会社の噂だ。俺の噂のことだ!」
「ああ、透が私の元彼で、実はDVじゃなくてエッチ大好きな変態男って噂のことでしょう?」
「・・・・・・」
俺が秘書から聞いた噂とはまた違う。という事は社内ではかなり様々な噂が立っていたという事だ。
だから、男性社員はエロイ内容に喜びを感じ羨望の眼差しで俺を見ていて、女子社員は俺をそんなエロいスケベ男と勘違いして蔑みの目で見ていたんだ。
きっと、この噂の出どころは販促課に決まっている。
加奈子と俺との話題であの連中がいろいろと憶測でものを言い、それを聞いた他の部署の連中があっという間に社内全体へと広げていったんだ。
口伝いと言うのは恐ろしいもので、人から人へは正しく伝わらない。何人もの人を介せば最後の人物は全く違う話が伝わってしまう。
俺としては名誉棄損と訴えたいところだが社員相手にそんなことは出来ない。
「どうしたものか・・・・頭痛いよ、俺は。」
「あら、あながち間違いとは言えないわよ。だって、さっきの台所エッチだってそうじゃない?」
それは、加奈子に誘惑されたからで俺が望んで俺からやったんじゃない。
あれは加奈子がして欲しいって言うからだ。
それを俺の変態の理由に仕立てるつもりなのか?
俺は急に腹立たしくなると、残っているご飯とおかずを一気に食べてしまった。
「俺はもう寝る!」
そう言って、加奈子を一人台所に置いたまま先に寝室へと行ってしまった。
そんな俺を見て加奈子は呆れていたようだが、俺は断固として今日のことは加奈子の誘いだと俺は折れるつもりはない。