いつかウェディングベル
この日は会社にいる親父に会うことが出来た俺は直ぐに社長室へ行きしばらく時間を割いてもらった。
そして、加奈子へ話したことを親父に相談した。
「どうせ嫁ぎ先に迷惑になると後ろめたい気分にさせるなら徹底してそうさせたら良い。我が家へ加奈子さんのお母さんを呼べば良いだろう。」
「けど、それじゃ加奈子のお義母さんは俺達に気兼ねして落ち着いた生活が出来るわけないだろう?」
俺達だけが住んでいる家ならば加奈子の義母も遠慮しながらも世話になるかも知れないが、俺の両親の家となると遠慮もなにも相当な気苦労をさせることになるだろう。
親父は自分の家だからきっとそんな義母の気苦労を考えたことなどないだろう。
「それでは加奈子の母親が可哀想だと思いませんか? ただでさえ今の生活の援助をしてもらっているのだから、これ以上は娘の嫁ぎ先になど世話になりたいとは思わないでしょう?」
「普通はそうだろうな。しかし、今回の事故の原因はお前にあるのだし私にも責任はあると感じているんだ。その埋め合わせをさせてもらいたいのと、嫁ぎ先の娘の様子を見てもらうのにも良いと思ったんだよ。」
加奈子の嫁ぎ先の様子を義母に見せる?
俺にはそんな発想はなかった。加奈子は幸せに暮らしていると思っているし、加奈子が自分の両親と会う時に幸せな表情をしていればそれで十分幸福感を伝えられると思っていた。
「なあに、一生住むわけではないんだ。リハビリが終わるまでの期間だろう? どれくらいありそうなんだ?」
「分かりませんがそんなに何か月もの期間でもないと思います。ある程度リハビリをしたら退院になるはずです。」
「その時に、お前のマンションを提供すればいいだろう?」
それは俺も考えた。加奈子の両親が俺のマンションにしばらく居てくれると加奈子がどんなに喜ぶかと。
だけど、加奈子の両親はこの話をどう思うだろうか。俺一人であの父親を説得できるものだろうか?