いつかウェディングベル
親父と話し合ったのは俺のはずなのに、肝心な内容は俺には一切伝わってこない。
そんな日が数日続くと流石に俺のイライラが増してくる。
親父はいったい何を考えているのか息子の俺には詳しい話をしようとはせずに、何故か、加奈子にはウェディング部門の設立について相談しているようだ。
すっかり蚊帳の外の俺は話がどこまで進んでいるのか全く分からない状態だ。
親父の口を割ろうとしても絶対に俺には無理だと分かっている。だから、こうなると加奈子の口を割る方がまだ簡単だろう。
こんな時は、少々汚い手ではあるが加奈子をそそのかして聞き出すのが一番良いと思える。
そそのかすと言っても加奈子はきっと親父に口止めされているはずだ。
そんな加奈子から簡単には聞けないだろう。
ならば、色仕掛けが一番だろう。
普通なら男から話を聞きだすのに女が自分の体を使うものだが、今回はその逆のパターンで加奈子を俺の腕の中で甘えさせその間に聞きだすつもりだ。
「加奈子、まだ寝ないのか?」
「ちょっとね、やることがあるのよ。透は先に寝てていいわよ。」
「最近ずっと遅くまで起きているだろう? 流石に寂しいだろう? 一緒に加奈子も休もう。」
書斎へ向かおうとする加奈子の腕を掴んで引き寄せ抱きかかえるとベッドへと運んだ。
さあ、これからが俺の本領発揮だ。と、いってもいつもと同じように加奈子をその気にさせればいいだけの事だ。
甘いキスから始まり加奈子を痺れさせるような激しいキスへと変わっていく。すると、加奈子の息も荒くなりその気になっていく。
さあ、加奈子、新規事業がどうなっているのか教えてくれよ?
夫である俺に内緒にするとは実に怪しからん奴だ。
俺に今の状況を説明するならば見逃してやるが、ここでも俺に秘密を持てばしっかりお仕置きしてやるからな。
「最近何をそんなにやってるんだい? 俺の唯一の楽しみを取らないで欲しいな。」
「何もしてないわよ。それに、透の楽しみってなあに?」
「こんなふうにベッドに入ることだよ。」
「私が拒んだことある?」
ああ、ダメだ。
加奈子を色仕掛けで落とそうとしても、逆に俺が落とされて話を聞こうにも無理だと分かってしまった。