いつかウェディングベル
「俺にできることは何でもする。加奈子のためには少々のことがあっても驚かないし拒むこともしない。だから、教えてくれないか?俺はどんな協力をすればいい?」
親父と加奈子が今やろうとしていることを尊重するつもりだ。
「実はね、その、.......ウェディング会社設立時の宣伝になるように一つ手掛けようと言う話しになったの。そこで、私が以前から考えていたプランがあるの。」
俺の肩にもたれ掛かりながら弱々しい声で話す加奈子は、さっきの俺の言葉に傷ついたのだろうか?
俺の顔を見て話して欲しい。俺を拒絶するような態度はとらないで欲しい。
俺の心まで折れそうになる。
「加奈子」
加奈子の肩に腕を回し頬に触れるとそのまま俺の方へと引き寄せた。
顔を覗きこむと加奈子の目にはうっすらと涙を浮かべていた。
加奈子を悲しませることばかりして、一体何時になれば本当に加奈子を幸せにできるのだろうか?
「加奈子が悲しそうな顔をすると俺も悲しくなる。だから、そんな顔しないでくれ。俺は加奈子を幸せにしたいんだ。」
「透は幸せをたくさんくれるよ。透がいてくれるだけで幸せなんだから。」
「俺も加奈子がいてくれるだけで幸せだよ。」
ああ、本当に俺は加奈子によって生かされていると実感する。
加奈子がいなければ俺もこの世からいなくなってしまうんだ。
「キスしてもいい?」
「え、そんなの聞かないでよ。」
「一応、会社だし、ここ社長室だから、」
キス一つに遠慮していると加奈子の顔に笑みが戻った。そして、俺に抱きついてきたかと思うと優しく唇が重なった。
数回唇が重なると甘い吐息が耳をくすぐる。
「透、もっとキスして。」
「キスだけでいいのかい?」
「ここは会社で社長室よ。」
「社長は今日一日不在なんだよ。だから、構わないさ。」
俺を騙し討ちしようとした親父への仕返しじゃないが、息子夫婦の仲直りに少しは協力しろよ、親父。
俺はソファに加奈子を押し倒してしまった。