いつかウェディングベル
加奈子は今は自分の夢に向かって楽しい毎日を過ごしている。
あの日、社長室で話しを聞かされた時はその内容に驚いた。まさか加奈子が俺との結婚を夢見ていたとは知らなかった。
俺と別れていた間に、加奈子にはずっと憧れの結婚式があったそうだ。
悲しい思いをしていた頃に抱いていた加奈子の夢ならば尚更それを実現させてやりたいと思った。
加奈子の生きがいだった芳樹と二人だけの生活の中で夢見ていた結婚式を書き綴ったものがあの企画書なのだ。
憧れだったはずの結婚式を憧れで終わらせたくない。
加奈子の夢は俺と再会した時点で夢ではなくなり今では現実のものなのだから、それを加奈子に実感させたいし実現させたい。
しかし、加奈子の夢を実現するのは良い事だが、毎晩遅くまで何をしているのやら俺は加奈子が体調を崩さないかが心配で夜も眠れない程だ。
この日の夜も加奈子は書斎で資料をたくさん広げ何やら唸り声のような訳の分からない声を出していた。
こっそり覗くだけにしようと思いながらもこんな時は俺も手助けしたくてウズウズしている。
しかし、これは加奈子が一人でやり通したいと言うので、俺はグッと我慢して書斎へは入らずに廊下に座り込んで加奈子の独り言を聞いていることにした。
壁にもたれ掛かるといつの間にか眠くなり俺はウトウトと眠ってしまった。
どれくらい眠ったのか気付いた時には廊下に横になっていた。どうりで体が冷たいと思い起き上がった。
加奈子はきっと寝室へ戻ったのだろうと思い俺も寝室へと戻った。
ところが、寝室へ入るとベッドにいるはずの加奈子の姿がなかった。
壁掛け時計で時間を確認すると既に時刻は深夜となっている。こんな時間まで仕事をしては体を壊してしまうと俺は急いで書斎へと走った。
皆が寝静まっている夜中だろうが俺は加奈子が心配で周りへの騒音など気にもせずに家の中をバタバタと走っていた。
書斎のドアをゆっくり開けて加奈子の様子を見ると、加奈子は既に深い眠りについていた。
机に伏せて眠る加奈子を抱きかかえ寝室へと運んだ。
夢を実現する為には俺も協力するつもりだが、あまり無理して体調を壊して欲しくない俺としてはこんな時間までの仕事は認められない。