いつかウェディングベル

俺がこれまでしてきたことへの苦しみなど加奈子が受けた苦しみに比べれば大したことではない。


そう考えると加奈子はどれ程強靭な心を持っているのだろうかと思う。


俺は自分がいかに甘ったれで自己中心的な男か思い知る。


そして、周りに噂されていた通りの最低男だと実感する。




だから、今回の加奈子が考えたウェディングプランが成功するように俺も陰ながら応援したい。


出来ることがあれば手伝いたい。


そう思って販促課へと足を運んだ。



加奈子達のデスクがあるこの場所の一部をウェディング部門として使っている。


ウェディング会社設立時、本人の希望で課長と坂田が新会社へ異動することが決まっていた。



加奈子が在籍する今の販促課の部署は無くなり他の社員達は他の部署へと異動になる予定だ。



「田中なら、坂田と一緒に出てますよ。」



この声は俺が一番毛嫌いしている吉富だ。



「ここへ来ても彼女とは会えませんよ。暫くは会場の打ち合わせで忙しいですから。」


「やけに詳しいじゃないか、吉富君?ウェディング部門の人間でもないのに。」



「ええ、ですが、相談を受けるので毎日ミーティングに参加してますからね。あなたよりは私の方がずっと彼女を支えてますから。」



実に厭味な男だ。加奈子が俺に相談しないのも頼らないのも考えがあってのことなんだ。


それを、俺が除け者扱いされているような発言は許せない。



「ああ、そうそう。彼女の支えは今に始まったことじゃないですからね。もう、何年も俺は彼女を支えてきたんだった。」



ほんとうにこの男をクビに出来たら俺はどんなに嬉しいか。その場で裸踊りしても良いとさえ思うぞ。


したくはないが・・・


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