いつかウェディングベル

書斎へとコーヒーを運ぶと加奈子が慌てて資料を隠そうとした。


だから、俺は書斎のドアを開けた所からは一歩も中へは入らずに入り口のところで止まった。



「お疲れさま。少し休憩したらどうだい? あまり根積めてやると体に毒だよ。」


「ありがとう! ああ、いい香り! それに・・・・これ、芳樹のお菓子じゃないの?」


「そうだと思うよ。増田が加奈子にって出してくれたんだ。」


「ありがとう。」



加奈子は嬉しそうに微笑むと書斎から出てきてドアを閉めた。トレーを手に取るとキッチンの方へと歩き出した。



「加奈子?」


「ねえ、透も一緒にお茶しない?」



一人で飲むより一緒にコーヒーを飲む方が何倍も美味しい。それに、帰宅後あまり顔を合わせないからこんな時にゆっくり加奈子の顔を拝めたら俺は嬉しい。


加奈子も同じ気持ちなのだろうかと期待してしまう。


きっと同じ気持ちなのだろう。だから、二人でコーヒーを飲むんだよな?


夜明けのコーヒーじゃないけれど、ちょっぴりロマンスを感じるコーヒーブレイクにしたい。


加奈子はどうだろうか?


たまにはこの前みたいなロマンティックな夜を過ごしたいとは思わないのだろうか?


そんな期待をしながらキッチンへと入って行くと加奈子は頬を赤めて俺を見ていた。きっとここで抱き合った時のことを思い出したのだろう。



「近くに増田がいるから今日は出来ないよ?」


そんなセリフを言うと加奈子は真っ赤になっていた。もしかしたら半分期待してキッチンでコーヒーを飲もうと俺を誘ったのかも知れない。


そんな加奈子が俺は大好きでもっと加奈子の思い通りにしてやりたい。


だから、抱くことは出来ないけれどキスならばと加奈子の顔に近づいて頬にキスをするとそのまま唇に触れた。


加奈子も待っていたようで二人甘いキスを楽しんでいた。

< 305 / 369 >

この作品をシェア

pagetop