いつかウェディングベル
「私の勝手な言い分なんだけど・・・・」
加奈子が気まずそうにしながらも俺の顔を見て何かを頼みたさそうな表情をしていた。
「なんだい? 言ってごらん。」
少し緊張気味の加奈子を見ると俺まで緊張してしまいそうだ。
「このマンションを売ったお金を貸してくれないかしら?」
「それはいいけど。何に使うんだい? かなりの金額になると思うけど?」
「両親のマンション代に充てたいの。それだとお義父さんからお金を借りなくてもいいから。勿論、透には少しずつだけど会社が利益を上げたら返していくわよ!」
加奈子の両親の為のマンションならば俺にとっては好都合だ。
償いにしては安すぎるがマンションを売ったお金が役立つのであれば俺は喜んでそのお金を加奈子に使ってもらいたい。
「勿論、加奈子の好きにしたらいい。そのお金が加奈子の役に立つなら使ってくれないか?」
「必ず返すわ。」
「いいや、それは加奈子のお金だから好きに使ってくれていいんだよ。」
「そんなわけにはいかないわ」
「夫婦の財産は共有のものだろ? 俺のものは加奈子のもの。だから、気にせずに使って欲しい。」
きっと、償いたいからと言えば加奈子は断るに違いない。
だから、そんな言葉を使いたくない。
加奈子に負担をかけさせたくない。
どうせ処分するマンションならば有効活用した方が良い。
「でも、お金余っちゃうわよ。」
「じゃあそのお金で芳樹におもちゃを買ってやろう。」
「子ども部屋が必要になるわよ。それも、遊園地みたいな部屋が。」
「そろそろそんな部屋が欲しいな。」
まだ夜は一緒に俺達と眠るだろうが、芳樹も何時までも小さな子どもではないだろう。
加奈子に二人目ができればわが家の賑わいも二倍になり子どもの遊ぶ部屋が必要になる。
それに、もしかしたら芳樹は自分の部屋で一人で眠るようになるかもしれない。
俺達の生活も少しずつ変わっていくだろう。