いつかウェディングベル
加奈子と芳樹の三人で軽めのランチを取った後、久しぶりに加奈子の義父の病院へと向かった。
今はリハビリ中でかなり神経質になっていると加奈子から説明を聞いた。
加奈子は病院へ行けない分、義母と連絡を取り義父の様子を聞いているようだ。
忙しいから会いに行かないと聞かされるが、やはり心配な様で頻繁に連絡をしているようだ。
早くマンションの契約を終わらせ義父を転院させると加奈子も多少は安心するだろう。
暫く義母には一人暮らしで寂しい想いをさせるが義父が退院する日は近いそうだからその寂しさも僅かな期間で済みそうだ。
「さあ、戦闘開始だ!」
「もう、透ったら。お父さんと喧嘩だけはしないでね。」
「大丈夫、お義父さんはあれで結構楽しんでいるんだよ。」
義父は俺の顔を見ると必ず厭味を言う。それが楽しみなのだろう。
俺へは文句ばかりだが、それでも嬉しそうな表情をしてくれる。
だから、そんな厭味は俺への褒め言葉だと受け取っている。
だけど、そんな俺達のやり取りは加奈子はハラハラドキドキの連続でかなり困っているようだ。
加奈子を困らせない様にもう少し大人しくしておくかな?と、思いながらもつい憎まれ口をきいてしまう。
「それで、転院は何時頃になりそうなの?」
「いつでも良いそうよ。だから透さんと相談して決めようと思っていたのよ。」
病院から母へは転院についての説明は既に行われていたそうだ。
ならば、一日も早く加奈子の目の届くところへ移してやった方が俺も安心できる。
「ならば早い方がいいでしょう? お義父さんもお義母さんも少しでも早くこちらへ来て頂けると嬉しいですよ。加奈子はもうずっと首を長くして待っていますから。」
「そうよ。お義父さん覚悟はいい? これから毎日透がお義父さんとお喋りしたいんですってよ!」
「俺を地獄へ突き落すつもりか?!」
「いいえ、天国ですよ? お義父さん」
相変わらずの憎まれ口だが、義父の顔はとても幸せそうで満面の笑みで加奈子を見ていた。