いつかウェディングベル
「さあさあ、専務は早く仕事に戻って下さい。あなたがいるとここの仕事が出来ないんですよ。」
吉富と江崎に俺は部屋から追い出されてしまった。
そんな様子を黙って見ていた他の社員達は吉富らを止めようとはしなかった。
俺が部屋から追い出されると今度は蟹江がやって来た。
「あの二人は悪気はないんですよ。ただ、専務と加奈子さんの結婚式が近いからその内容を知られたくないんです。」
俺には何もかもが謎とされている結婚式。自分の結婚式なのにここまでどうして秘密にされるのかが納得できない。
本当ならば俺も何か手伝いたいしアイデアも出したい。
加奈子が希望する結婚式にしてやりたいと思っているのに俺は完全排除されている。
「加奈子さんが夢にまでも見た結婚式ですから、彼女の為にもう少しだけ我慢して貰えませんか?」
「・・・・仕方ないか。だけど、衣裳だけは選ばせてくれるんだろう?」
「それは私からは何とも申せませんが。」
一体加奈子は何を考えているのか。少々、結婚式というものが怖く感じてきた。
俺は普通に結婚式の衣裳を着て挙式を挙げて皆に披露できればそれで十分なんだ。
特別な式など必要ないのに。
「そんなに手の込んだ式を考えているのか?」
「いいえ。式自体はとてもシンプルなものですよ。加奈子さんらしいとても可愛らしい式になるとそれだけ申しておきます。」
蟹江はそれだけ言うと皆のところへと戻って行った。
俺は、蟹江の言葉を聞いて少しホッとしたのか自分の仕事に戻ることにした。
新郎の俺に秘密にするような怪しい結婚式かと心配していたがそれはなさそうでまずは一安心と言ったところだろう。