いつかウェディングベル
「じゃあ、これなんかどうかしら?」
「却下! なんでそんな胸元の開いたものばかりを選ぶんだ? 俺は絶対に反対だ!」
すると、加奈子と貸衣装店のスタッフは顔を見合わせて思いっきり笑っていた。
明らかに招待客の男達に嫉妬する俺を見て二人は笑っているのだ。
だけど、世の新郎となる男達はみんな俺と同じ意見だと思う。
妻となる女の裸のように露出したドレス姿を見せたいものか。
「ねえ、透。まさかとは思うけどハイネックで長袖のドレスを着れって言うんじゃないわよね?」
「総レースならエレガントで素敵なドレスだと俺は思うが?」
「ええっ、一生に一度の晴れ舞台なのよ。それに透にも見て欲しいのに。」
「俺以外の男もたくさん見るんだぞ?!」
招待客は新郎などには興味はない。いつも、女が主役でそのドレス姿に誰もが見入ってしまう。
例え、他の男のものである女だと分かっていても、加奈子のような可愛い妻ならば誰もが欲しがるだろう。
「透、お客様ってそれほど細かいところまで見ないのよ。神経質になり過ぎているわ。」
「じゃあ、何を着ていても問題ないだろう?」
「だったら、私の気に入ったものを着てもいいでしょう?」
「ダメだ! 俺に選ばせてくれるんじゃなかったのか?」
「透がこんな頑固オヤジみたいな発想するなんて思わなかったのよ!」
こうなるとお互いに一歩も引かない。
加奈子は自分が思ったことは通そうとする。俺の意見など聞きやしない。
変なところ意地っ張りだ。
それはお互い様かもしれないが、今回だけは、俺の意見を通させてもらう。
招待客の男達に加奈子の肌など見せるものか。だから、絶対に俺は引かない。
例え、加奈子相手でも最後まで俺の意見を通すんだ。