いつかウェディングベル
「さっき、芳樹に言っていたパパとママの話ってこれのことなのか?」
加奈子は頭を横に振った。と言うことは、俺と何かを話し合いたいのだろうか?
俺はそれが気になっている。
加奈子に触れたくて堪らないがその前にこの落ち着かない気持ちを何とかしたい。
そうでなければ、加奈子を欲望のまま抱いても嬉しくもなんともない。
俺は加奈子を抱き起こした。二人ベッドに向かい合って座った。
「透?」
「話があるんだろう? 加奈子の話を聞きたいから思っていること全部話してくれないか?」
「あ、え・・・その、」
加奈子は俺の目を見て直ぐに目を反らした。
それは何を意味するのか俺は加奈子の話を聞くのが怖くなった。
顔を下に向けたままモジモジする加奈子は、話したいことがあるが話す勇気が持てなくてまだ悩んでいると、そんな風に見えてしまう。
何かあったのだろうか?
それとも、今から俺と何かを起こそうと言うのか。
「あのね、実は、」
俺の顔を見ようとせずに俯いたままでいる。両手を頬に当てる加奈子の表情は俺には読み取れない。
だけど声が少し震えているように感じると良くないことでも起きたのかと不安ばかりが募っていく。
「実は、吉富さんなんだけど・・・」
ベッドの上で俺は吉富のことなど話したくもない。そんな言葉を聞きたくない。
俺は、以前から加奈子に好意を示し未だに加奈子への想いを吹っ切れていないあの男は好きにはなれない。
いつまでも加奈子を狙っているようで気に入らない。
加奈子の気を惹こうと毎日一緒に仕事をしている吉富を俺は何度遠くへ飛ばしたくなったか。
「その、私、吉富さんと、」
それ以上加奈子の口からアイツのことなど聞きたくなくて加奈子の口をキスで封じた。