いつかウェディングベル
加奈子の腕を引き寄せ抱き締めた。
久しぶりに感じる加奈子の重みがとても愛しくて抱き締める腕に力が入った。
「芳樹も奈美もとても可愛くて愛しいわ。あんなに素晴らしい子供達に囲まれた生活ほど幸せなことはないわ。愛する旦那様と一緒に生きることこそ女の幸せだわ。」
「仕事はどうするつもりなんだ? 三人目となると仕事との両立は大変だろう? 俺も年々忙しくなるばかりで加奈子の仕事の手伝いは期待できないと思うよ。」
「だから、吉富さんに任せようと思うの。課長にはお客様室長になってもらって、吉富さんにウェディング部の部長になってもらうつもりなの。私は第一線からは退いてアドバイザーとして残りたいと思うの。」
加奈子は本気で俺との生活を一番に考えていた。
俺と子ども達のことを考えてくれていたんだ。
これまで仕事中心で家にいながら顔を会わせないことも何度となくあった。
仕事だからと諦めもしていたがこんな生活が一生続くなんて考えたくもなかった。
俺は加奈子との生活を夢見て結婚したんだ。仕事と結婚したのではない。
夫婦が会話も出来ないほど仕事に明け暮れるなんて、それでは夫婦とは言えない。
ただの同居人と同じになってしまう。
「それにね評判が良くて結婚式のプランニングを依頼するだけじゃなくて、ドレスの製作依頼も多いのよ。だからプランニングとは別のウェディングドレス製作部門に分けようと思うの。」
「それじゃあ忙しくなる一方じゃないのか?」
「大丈夫。制作部部長は蟹江さんにお願いして新たに社員を増やすつもりよ。」
本当に加奈子は第一線から退けられるのか俺は疑問に感じた。
けれど、加奈子がそう約束したのだからきっとその通りになるのだろう。
俺は加奈子を信じるしかないんだ。
「そうと決まれば俺達は子作りに専念しよう。」
「あのね、私、透の子どもはね男の子が二人に女の子も二人欲しいの。」
「俺は加奈子の子どもなら何人いてもいいよ。」
どうやら加奈子の第一線から退く話は本気らしい。