いつかウェディングベル
美薗さんとは会場で待ち合わせをすることにしている。流石に、自宅まで迎えに行くことは常識を外していると思ったからだ。
それに、俺がエスコートすることで美薗さんと婚約者の仲が深まればいいが、万が一、良くない方向へ走った場合は俺が自宅へ行ったことが原因で美薗さんの立場を悪くするのは困る。
しかし、家を出るまでの間、加奈子に無視されたような態度をされるのは正直辛いものがある。
ただでさえ気分の乗らないパーティが更に気分を悪くする。
困ったものだと思いながらも横目で加奈子の姿を追いながら出掛けた。
パーティ会場へ行くとそこは華やかな社交界となる。
パーティ向けのスーツ姿の男達とドレス姿の女達が入り乱れ楽しい会話で場が盛り上がっている。
知人や顔見知りの人がいれば真っ先に挨拶に行くが、ここでは仕事に繋がる会話は欠かせない。
それに、得意先への挨拶もあるが、俺の周りに集まる女性たちの挨拶も無視は出来ず、愛想笑いを続けるのは一仕事になる。
若手の社長や社長令息等は女達の格好の餌食となる。逆に令嬢目当ての男達も集まる。
見かけも派手だがここで行われる行為も派手なものが多い。
だから、少々の羽目を外してもたいして目立つことはないし咎められることもない。
そんな俺の目の前に見事にドレスアップした美薗さんが現れた。
俺は約束通りに彼女のもとへと行き挨拶を交わすとエスコートをする。
彼女が俺の腕に抱きつくと周囲の女性も男性も驚いた表情で見ていた。
殆どが見世物状態になる俺達だがこれが彼女の考えた策なのだろう。