みんなの冷蔵庫(仮)1
車道から猛スピードで走り去る車の音がして、私の胸がざわつく。

もしかして、佐田さんがさらわれたなんて事……


組んだ手により力を込めて、目をきつく閉じて祈る。


「くららさん」


聞き覚えのある低音に顔を上げると、脱いだジャケットを肩に掛け、全身ずぶ濡れの佐田さんが困ったような顔をしてこちらに近付いてくる。


「どうして中に入らないんですか? 風邪を引きますよ」


ゆっくり大股で近付き、私の真ん前まで来てその顔がはっきり見えると。


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