みんなの冷蔵庫(仮)1
私は金ぴかの蛇口を勢いよくひねり、そこに突っ込むようにして、何度もザブザブと顔に水をかけた。

確かにあの時点でバイトを休めと言われても、きっと私は休まなかった。

シグマがお金で引き抜き紛いの事を言われた事を聞いていたとしても、自分があんな目に合うだなんて、予想もしなかっただろう。

そして、佐田さんがいなかったら、私はあの男達にどこかに連れ去られていた。

そう思うと背筋がゾクリとした。

佐田さんが助けてくれた。
それが偶然かそうでないかは問題ではない。
むしろ、偶然ではない方が大変な事のはずだ。

何時間も私を見守っていてくれたという事なのだから。

その事を忘れるな。
自分一人悲劇のヒロインぶってはいけない。

そう言われているような気がして、私は顔を上げても鏡に写る京極から顔を背けた。


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