みんなの冷蔵庫(仮)1
ずっとクール振ってた男が、顔を真っ赤にし、両手で胸を押さえて激しく咳込む。

私の腕を掴んでいたシグマの力が弱まり、小さく「あらら」って呟くのが聞こえた。

私はちょっとすっきりして、脱げたミュールを拾い、どかっとシートに腰を下ろす。


それから、まだ苦しそうに体をくの字に曲げる男を睨み付けた。


「私は一重瞼が好きなの! 二重には用はないってのよ」


スーツ男は切れ長なくっきり二重。

シグマはぐりぐり丸くて大きいぱっちり二重。


藤本先輩は……涼しい爽やか一重で、優しくて、思いやりがあって、頭がよくて、バスケが上手で……
ああ、藤本先輩。今日お会いできると思ったのに。

藤本先輩を思い出し、私の顔は自然と緩んでくる。

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