みんなの冷蔵庫(仮)1
頭上を振り仰ぐと、不機嫌な顔の京極が、よほど急いで来たのか息を乱して立っていた。


「佐田が正面入口で待ってる。帰るぞ」


私の肩に乗せられた謙信先生の手を、音を立てて叩き落とし、まだ肩で息をしながら私とシグマの肩を抱く。
そのまま診察室出ようと体の向きを変えてから、肩越しに振り返った。


「世話になったな。今度ニーナ写真集を一冊やろう」

「いらない。僕は生身の触れる女の子がいいから」


謙信先生は苦笑いを浮かべ、追い払うように手をひらひらと振った。


「謙信、後で病院長にも電話するけど、二三日中に退院した事にするから」


腕の中で、私とシグマは京極を見上げた。

二三日中?
そんな短期間で、お父さんを助け出せると思ってるって事だろうか。


「おじさん帰ってきたの?」


驚いたように言う謙信先生の声に、首を横に振る。


< 452 / 491 >

この作品をシェア

pagetop