みんなの冷蔵庫(仮)1
「あ!キョンキョンのとこのお手伝いさんだ」


シグマが私の横から顔を覗かせ、車中を一目見るなり言った。


「シグマ……記憶力いいな」


京極は眉を上げて目を見開き、かなり驚いたみたいだった。

本当に凄いと思う。
私はメイドさんの顔なんて一人も覚えていない。


「初めてキョンキョンのお屋敷行った時に名前聞かれたもん」


シグマがそう言うと、京極が「やっぱり」と小声で呟き、小さく舌打ちした気がした。


とにかく屋敷へ戻ると言われ、彼女の横に私、次にシグマ、の順に乗り込み、車は動き出した。


「彼女は野崎ちよみ」


助手席の京極が少し苛立った声で話し出す。


「風呂場に乱入して僕を誘惑しようとしたり、お前達の情報を売ったりした」


私は飛び上がるくらいびっくりして、横に座る野崎さんへと視線を向ける。
シグマも驚いてこちら側を向いている気配を感じる。

当の本人はしれっとしていて、頬杖をついたまま、窓の外を眺めている。


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