みんなの冷蔵庫(仮)1
「待ち伏せしてて、いきなり玄関で抱き着いただけよ。反応薄いからゲイかと思ったら、ちゃっかり綺麗な彼女がいてさ」


私は包丁を握り締め、胸を撫で下ろす。

佐田さんが、彼女がいるのに他の女の人とそういう事をする人じゃなくて、ホッとした。

そしてまた突き付けられる現実。

綺麗な彼女か……。

そして髪が長いんだったっけ。

私はまな板の上のお肉に視線を落とし、小さくため息をつく。


「あんたの方こそ好きなんじゃないの?」


野崎さんはピーラーで皮を剥きながら、横目で私をちらりと見た。


「わかんないんですけど……」


私は手を止めて野崎さんの方を向いた。

シグマが横でハラハラオロオロと見守ってくれているのが視界の隅に入る。

三人共手は完全に止まっていて、勢いよく流れる水音だけが響いた。


「げっ! マジで?」


野崎さんは大きな目を更に大きくして「えー!」と叫んだ。


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