みんなの冷蔵庫(仮)1
こんな事を思うのは間違っているかもしれないけど。

話の全てが見えていない私には、京極が時代劇の悪代官みたいに――悪者みたいに見えた。


それくらい

それくらい、透明で美しい涙が、野崎さんの大きな瞳から溢れ出て、流れ落ちた。


「――たくなかった」


野崎さんが俯いて小さく震えながら何かを言った。


「……え?」


京極が、聞こえなかった、と言うように体を少し斜めにして耳を傾けた。


「こんなもん見たくなかったって言ってんの!」


紙切れを一気に真っ二つに引き裂き、野崎さんは勢いよく立ち上がった。

私の前に紙切れの半分がひらりと落ちた。

写真のようなものが印刷されていて、紙の端には「~下さい。佐田」と書いてあるのが見えた。


「知らなくていいのよ!」


野崎さんは叫びながら、京極の傍までズカズカと歩いていった。


< 473 / 491 >

この作品をシェア

pagetop