みんなの冷蔵庫(仮)1
「知らなきゃ幸せでしょ?! 知らなきゃトキちゃんは私だけを愛してるんだから!」


予想外の反応に驚きを隠せない、といった表情の京極を見下ろし、野崎さんはボロボロと涙を落とし続ける。


「なんだその理屈……」


京極は明らかに動揺していた。

いや、京極だけじゃなくて、私も、シグマも、どうしたらいいのか分からず、野崎さんも含め全員がパニックになった。


「余計なお世話して……馬鹿っ!」


野崎さんは大声でそう叫ぶと、シグマの腕を引っ張り上げた。


「えぇっ?」


シグマはその勢いで立ち上がり、びっくりして「何? 何?」と言いながらキョロキョロと視線を動かした。

私も京極も呆気に取られ、ぽかんとしていると、野崎さんはシグマの手を引き、出口へ向かって歩き出した。


「もう、寝る!!」


そう吐き捨てると、左手の袖でゴシゴシと乱暴に目を擦って涙を拭い、右手でおろおろするシグマの手首を掴んで引っ張りながら、部屋を出て行った。


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