みんなの冷蔵庫(仮)1
「一緒に触ろっか?」


私の提案にシグマはうんうんと何度も頷いた。


ワクワクしているのが伝わってくる。

でも私はシグマみたいに純粋にワクワクすることはできなくて、不安や怖い気持ちだらけで。

私の右手は自然とシグマの左手を握る。

シグマは繋がれた手を見て、それから私の顔を見て、緊張感のない笑顔を向けてきた。


「せーので一緒に触る?」


シグマに気遣われるなんて情けないんだけど、この時の私はすっかりいつものリーダーシップぶりを忘れてしまっていて、とにかくやたら喉が渇いて唾ばかり飲んでいた。

心臓が痛いくらい激しく、詰まったみたいにきつく、どーんどーんと太鼓を鳴らす。


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