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「うーん…ちょっとだけ。もしかしてビックリしたとか?」
「ま、まぁ…」
やっぱり俺が話せた事に驚いてたらしい。
ま、そりゃそうだよな。お前より学力低いもんな。
「俺、中卒だけど、なんとなく英語だけは勉強してた。話せたらカッコいいじゃん。…だけど面倒くさくなってやめた」
「何それ」
苦笑いする俺に呆れた返事を返す美咲は、顏に笑みを作る。
だけど、肝心なところはそこじゃない。
肝心なのは俺がさっき言った言葉であって、緩めてた口角をスッと消した。
「みぃちゃんさ、何かやりたい事とかあんの?」
「……」
案の定、何かを悟ったのか、美咲はさっきまでの笑みを一瞬で消し、俺から視線を避ける。
別に無理やり聞き出そうなんて思ってない。
それに無理やり聞きたいとも思わない。
ただ、美咲の中に潜んでる何かが気になって、俺が俺じゃないような感情が押し寄せる。
その必死になってるお前が、昔の俺と重なって心ん中がムシャクシャした。
「どっか行きたい所ある?」
これ以上、問いただすのもダメだと思い、深い沈黙を遮る。
美咲の顔を覗き込んだその瞳とかち合うと、スッと戸惑ったように逸らされる視線。
「どこでもいいよ」
「海…」
一呼吸する間もなく、小さく呟かれた声。
美咲があそこで何を求めてるかなんて分かんなかったけど、あの場所は俺にとって大切な場所でもあるから何故か頬が緩んだ。