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「分かった」
呆然と突っ立っている美咲の腕を掴み、外に出る。
相変わらずギラギラ眩しい太陽と汗ばむ空気にうんざりした。
車の助手席のドアを開けて美咲を座らせ、すぐに俺も運転席に座る。
熱気をかき消すようにエアコンの温度を少し下げると、すぐに車を発進させた。
時間にすると一時間くらいだろうか。その間、美咲は口を開く事無く、ただぼんやりと窓から外の風景を見つめていた。
何を考えてんのか知んねぇけど、その空間に入る隙間すらなく俺は着くまで口を閉じていた。
盛大な海が広がる駐車場に車を停めると美咲はすぐに車から降り、果てしない海を見渡す。
その姿を目にしながら俺はタバコを咥えて、同じように海に視線を送った。
ほとんど夜の海しか知らねぇから昼間の海が物凄くでかく感じる。その久し振りに見た水平線が、果てしなく遠かった。
「ねぇ、下に降りようよ」
不意に聞こえた美咲の声に視線を向け、俺は口角を上げたまま頷く。
車内の灰皿にタバコを捨てると俺は足を進めた。
「カカト埋もれんぞ」
「大丈夫。脱ぐから」
美咲はヒールを脱ぎ、手に持って足を進めて行く。
予想外に階段を過ぎ去って、砂浜を歩いて行く美咲に思わず頬が緩んでしまった。