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「前、ここで言った。俺の所為だって言ったよね?」
「それは俺が思ってるだけ」
「思ってるだけって?」
「思う事はいくらだって思える。親が子供の所為とかそんな事思ってたら、きっと俺を捨ててどっかに行ってると思う」
「……」
「でも、母親はこんなどうしようもねぇ俺でも何も言わずに育ててくれた。だからすげぇ感謝してる」
「……」
精一杯だったはずなのに、俺を見捨てようともしなかった。
沙世さんが言ってたっけ。俺を残して死ねないって、お袋が言ってたって。
あんなに荒れ暮れてた俺なのに、そんな事まで思って死ぬなんて、どんな根性してんだよ。
産んだのがこんな俺で悪かった。って、今は物凄く思う。
「みぃちゃんだって、自分が思ってるだけでお母さんは何も思ってねぇよ。親は子供の為だったら頑張れんだよ」
美咲の視線が徐々に落ちていくのが分かった。
困ったような、悲しそうな、その何ともいえない表情に昔の俺を見てるみたいで、もうこれ以上言葉なんて掛けられなかった。
俺が言っても説得力なんて何もない。
言葉を並べて考えたけど、美咲に掛ける言葉が思い浮かばない。
ただ、言えるのは俺より、お前の方がずっと凄いって事。
母親を大事にして夢を持って、凄いと思う。
俺はそんな夢すらなんもなかったから。
でも。
だけど、お前のやり方は間違ってる。
だからって、俺が言う筋合いなんてなんもねぇんだけど…