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「なんも食ってねぇだろ?買ってきたから食えば?」
美咲の頭から手を離し、頬を緩める。
ゆっくりと起き上がった美咲は額に手を当て、
「ごめんなさい…」
ため息とともに小さく呟く。
「てか今度は何に謝ってる?みぃちゃん、最近謝ってばっか」
「ごめん…」
「ほら、また謝んのかよ」
思わず俺はフッと鼻で笑う。
だけど美咲の表情は晴れなくて、顔を顰めたままだった。
「ここにいちゃ翔に迷惑だって、ずっと分かってる。分かってるんだけど…」
「……」
「だから翔の為に何かしなきゃいけないって思うんだけど。ご飯作らなきゃって思うし。でも、何もかも思うように出来なくて。だから――…」
「俺がいつ飯作れって言った?俺がいつ帰れって言った?そんな事ずっと考えてたのかよ」
「……」
「迷惑だって思うのなら俺はとっくに帰れって言ってる」
「……」
「何に心配してんのか知んねぇけど、心配しなくてもなるようになるし、なるようにしかならないから」
「……」
「謝るのは俺の方…何も作れなくてごめんな」
素早く首を振る美咲に俺は頬を緩ませた。
「…翔?」
「うん?」
「ありがとう」
「ありがとうって言われるほど、なーんもしてねぇけどな。もう食えば?朝も昼もなんも食ってねぇじゃん」
「…うん。でもあまりお腹減ってない」
「減ってなくてもマジで食えって。食わねぇと、マジそこだけは俺、怒るから」
「強制的だ」
「当たり前だろ。みぃちゃん倒れたら困る」
やっと頬を緩めた美咲に少し安堵する。
テーブルに置いたオムライスを美咲は少しづつ口に運んだ。