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「あー、言われたわ、それ。普通にコイツなんなの?とか思ってたけど。でもな、毎日店で他の女に好き好きとか言われてたから、言わねぇ桃華が逆に新鮮だったわ。すげぇ言わせてぇとか思ってた」


ハハっと笑う蒼真さんに俺は苦笑いをする。


「確かになぁ。わかる気もする。でもあん時の蒼真さん、まじで重かったすもん。桃華さんも愛が強すぎて重いっつってましたもん」

「重くもしねぇと、桃ちゃん振り向かねぇんだよ。重くしたらしたらでウザいとか言われっしよ」

「つか、それでよく毎日会ったりしてホスト続けてましたね」

「毎日は会ってねぇけどさ、ウザイって言われてたし。だからアレだって、のめり込みすぎてお前に抜かされたんだって」

「そんな事知らねぇっすよ」

「でも、もうホストいっかなぁって思ってたんけど、なかなか辞めるタイミングみたいなもんがなくてさ、やめ時は今じゃねぇよなって思ってたし」

「……」

「俺もだったけどさぁ、お前も両立出来ねぇだろ。桃華が言うんだよ、俺ら似てるって」

「両立ねぇ…俺も出来ねぇからさ、最近キスが重い」

「え?彼女の?」

「ちげぇよ、他の女の」

「あー、そっちかよ」

「そっちしかねぇだろ」


この仕事してたら余計に思う。

簡単に同意なしに出来るって思ってしてくる女が重い。

前まではキスくらい別にどうでもいいって感じだったけど、最近はやけに重すぎる。

蒼真さんはクスクス笑って、「まー…」語尾を伸ばせながら苦笑いに変わる。
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