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「仕事って割り切るしかねぇよな」

「割り切ってっけど、たまにそう言う仕事じゃねぇんだけどなって思う」

「まーなー…サービスって思っとけよ」

「普通にサービスじゃなくね?つかサービスってなんだよ。蒼真さんさー、そう言う時、桃華さんに対して何か思ってたんすか?」

「まぁ、何してんの俺。とかは思ってたよ。だから申し訳ねぇから桃華に会いに行ってた」

「え?あんな真夜中に迷惑じゃね?」

「いや、アイツさ、当時居酒屋で働いてて俺より終わるの遅かったわけよ。だから待ってた」

「うわっ、毎日っすか?そりゃウザイわ」

「だよな。今思うとマジでウザかったと思う。でも段々、桃華も呆れて何も言わなくなってたわ」

「あー、そうなんすか」

「その代わり、女と抱き合ってキスしてその後に私とかって嬉しくないんだけど。シャワー浴びて出直して来て。とかも言われたよ。で、シャワーしてもう一度会いに行くとか」

「マジっすか?桃華さん、まじでホスト嫌いですもんね。話したくないオーラすげぇでてたし」


あまりの言葉に俺までも笑うしかなかった。

それに釣られて蒼真さんも苦笑いをする。

あの頃の蒼真さんを思い浮かべると、今の自分とあまり変わらないような気がした。

仕事だと割り切っていても、ふと過ぎる美咲の顔にため息を吐くしかなかった。

ほんと、桃華さんと同じ、会いたいの一言も、電話すらない。

そんな事を考えながら俺が会いに行ったのは、その日から2日後だった。
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