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「何すか翔さん…子守のバイトでも始めたんすか?」


笑いながら近づいてきたタケルに顔を顰めると、


「隠し子こんなにいたんすか?」


アキは笑いながらそう言葉を吐き出した。


「んなわけねぇだろ。ちょっと面倒見たって。俺もう限界」


自動販売機で買った珈琲を手に俺はベンチに座りため息を吐き出す。

一人で見れるわけねぇだろうが。


「で?なんで翔さん、見てるんすか?」

「みんな用事があるんだと」

「へぇー…、皆って?誰の子っすか?」

「うん?えっと、香恋が諒也で、蒼真さんとこが凌空で、んで蓮斗が愛優で、あっちが優香の子供の瀬那(せな)で、そっちに居るのが凌空の姉ちゃんの萌で、一緒に居るのが瀬那の妹の杏。…だったっけ、多分。もぉ俺にもわかんね」


ぐったりした声を出しポケットからタバコを取り出し、それを咥えるとタケルとアキがケラケラ笑い始めた。


「すげぇー…子だくさん。子守のアルバイトかと思いました」

「つかよ、皆、忙しいっつってたけど俺も忙しいっつーの」


葵ちゃんは短期大学の時のデザインの講師に会うとか何とかで諒也は仕事。

蓮斗は仕事で梨々花も仕事。

蒼真さんと桃華は一番上の子のサッカーかなんか知らんけど応援。

優香はこっちに帰ってきて地元の友達と遊ぶからって。


まじで意味わかんねぇわ。


「あー…楓さんが今、一番暇っすもんねぇ…ホストやめて時間いっぱい余ってっから言われるんすよ」

「いやいや、俺すげぇ忙しい。昼間仕事してそっから勉強して」

「まぁ今日、日曜ですし皆忙しいんすよ」

「そう言う問題じゃねぇだろ。俺一人で6人?流石に無理だろ。みんな馬鹿じゃねぇの?」

「しゃーないっすね、遊ぶんで飯奢って下さいね」

「はい?俺が?」

「もちろん」

「おかしいだろ。こいつらの親に払ってもらえよ」

「いやー…だって翔さんが呼び出したし」


そう呟きながらタケルとアキがギャーギャー騒ぎながら子供たちに戯れだす。

助かった。と、思いながら俺はその場から一歩も動かなかった。

と言うよりも疲れて動けなかった。
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