タイムトラベラー・キス

「あの、えっと……」


かといって、”ごめん”って謝るのもおかしい気がするし、何と言ったらいいのか分からなくてもごもごしてしまう。



「……そういえば、晃の今の家ってこの辺だったよな。ばったり会ったらさすがに気まずいよな。気が利かなくてごめん」


「えっ、いや、全然大丈夫だよ。気にしないで……」


”今”の家ってことは、竜見くんはこっちに引っ越してきたのかな。
同じ小学校なのに家が離れているのはそのためか。

……それにしても、野々村くんは何も悪くないのに謝らせてしまった。


少し重い空気を変えるように、注文した料理がテーブルに運ばれてくる。
ここのオムライスはやっぱりおいしくて、野々村くんはハンバーグをやっぱりおいしそうに食べる。



「……そういえば、野々村くんって今まで付き合ったことはあるの?」


「え、なんだよいきなり」


「いやあ、何となく」







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