殺戮都市~バベル~
勝てないと聞いても、神谷の意志は揺らがない。


北軍に住む神谷にしてみれば、ここで引き下がったら、この後どうなってしまうかわからないと考えているんだろうな。


成り行きで行動を共にする事になったけど、俺達が引き下がれば、神谷に負担が掛かってしまう。


まあ、そんな事をするつもりは一切ないんだけど。


「だから、達也に対しては奇襲を仕掛ける。それも、暗殺に近い奇襲だ。私と神谷はサーチされればすぐに捕捉されるだろうから、これは少年と名鳥に任せる」


暗殺……か。


なかなか難しいよな。


というのも、松田をただ殺すだけなら、なんとかなるかもしれないけど、北軍の人間を松田の呪縛から解き放つには、PBMを破壊しなければならない。


どこに持っているかわからないPBMを、松田に気付かれる事なく破壊するなんて至難の業だ。


「やれやれ。人使いが荒いお嬢さんだ。で?もしも失敗した時はどうする?」


「その時は……正面から戦うしかなかろう」


名鳥の問いに、恵梨香さんが答えた。


だがそれは、他に策がないという事で、暗殺の失敗は勝ち目のない戦いを挑むという事を意味していたのだ。
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